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「次世代育成支援・基本的考え」を読む

20日、社会保障審議会・少子化対策特別部会が「次世代育成支援のための新たな制度体系の設計に向けた基本的考え方」を発表し「新制度体系」の考えを示した。
 その基本は、「働き方の改革による仕事と生活の調和の実現」と「親の仕事と子育ての両立や家庭における子育てを支援する社会的基盤の構築」を「未来への投資」として進めるというものだが… 基本点での問題もあるが、「学童保育などの切れ目内対応」「保育の専門性、公的性格」など議会の論戦などで使える点も結構ある。
 


◆「育児休業明けの保育所入所、就学後の放課後児童クラブの利用等、切れ目ない支援が行われるようにすることが必要である」ということは、待機児ゼロの取り組みへの論拠とできる。

◆「サービスの質の維持・向上」について、
「○ 質の高い専門性のあるサービスを提供することで、子どもの最善の利益を保障し、子どもの健やかな育ちを支援することが重要である」
「○ 将来的に優れた人材確保を行っていくためには、保育士等の従事者の処遇のあり方は重要であり、サービスの質の向上に向けた取組が促進されるような方策を併せて検討すべきである」
―― としていることは、非正規雇用、短期の雇用で専門性が蓄積できないという、現在の保育所の抱える問題点を改善する論拠とできる。
 また、サービスの提供にあたっても
「保育サービスには、対人社会サービスとして、以下のような公的性格・特性があり、これらを踏まえる必要がある。 良好な育成環境の保障という公的性格」などを示し、「対人社会サービスとしての公的性格や特性も踏まえた新しい保育メカニズム(完全な市場メカニズムとは別個の考え方に基づく。)を基本」と、市場メカニズムに馴染まないことを示した点も重要と思う。

◆財源・費用負担
「市町村の厳しい財政事情に配慮し、新制度体系への地方負担について財源の確保を図るなどにより、サービス水準を維持・向上させていくことを検討する必要がある。」として、特に「公立保育所の一般財源化による影響を踏まえた議論が必要である。」と述べている。
 これは今年3月、社会福祉法人「日本保育協会」が全国の市区町村に対し、公立保育所運営費の一般財源化や一部補助金の交付金化の影響を調査した結果、「保育所運営費を節減・圧縮したと答えた市区は、61%に達しており、特に人口の少ない市に影響が大きく表れています。そのうち、財源確保が困難となっている市は、6割に達しています。」と報告している。
 地方財源そのものの充実の必要を示したものと言える。

◆ 公的サービスとして後退の危険
サービスの「量」の確保では、認可保育所の拡充を基本としつつ、「多様な主体が、働き方やニーズの多様化に対応した多様なサービスを提供する仕組みとしていくことが必要である」と、保育基準の低下をもたらす内容が含まれている。ここは「認可保育所の拡充を基本としつつ」を守らせることが必要だろう。
 また、「多様な主体の参画・協働」として「サービスの担い手としては、依然として行政や社会福祉協議会などの半公的な主体が大半を占めているものもあり、新規参入のNPO等が参入しづらい現状がある。今後、多様な主体の参画に向けた検討がなされるべきである」としてる点も、注意を要する。

◆利用方式のあり方 
契約など利用方式のあり方についても、利用者の多様なニーズに応じた選択を可能とする方向で検討していく。としているが、一方で、「子どもの利益を配慮すること」「保育支援の必要度が高い子どもの利用が損なわれないこと」「サービス提供者による不適切な選別がなされないこと」など、市場化による問題点を列挙せざるを得なくなり、「保育サービスの提供の責任を有する市町村等が適切に関与する仕組み」が必要といわざるを得ない。だったら、選択の余地の少ない地方などは、これまでのやり方を変える必要はない。

◆ 働き方の見直しの必要性・・・残業規制などがない
「父親も母親も家庭における子育ての役割を果たしうるような働き方の見直しが不可欠である。」「出産・子育て期の女性が、長時間の正社員か、短時間の非正規かといった働き方の二極化を余儀なくされないようにしていく」としているが、その決め手が「育児期の短時間勤務等の個人の置かれた状況に応じた多様で柔軟な働き方を選択できるようにするとともに、公正な処遇を確保することが重要である」としているが、財界の言う「雇用の流動化」を前提に、女性の労働力を確保したいという限界を感じる。
残業の規制、単身赴任の規制、同一労働同一賃金や非正規雇用でも社会保険加入の確保、育児休業などの給与保障、手当てなど、北欧やフランスなどで成功している「働くルールの確立」と、社会保障の抜本的な充実を組み合わせることが必要だろう。

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