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文科省の「流用」発言の罠 

 文部科学省が、図書費や教材費が、交付税で算定されている金額が使われてないとして「流用」というメッセージを出しているが、筋か違う。交付税は一般財源であり、地方の独自の裁量で使えるものだ。かつて財務大臣が、投資的経費(単独事業)が流用されているとして、ケーブルテレビの加入料の補助だとか、ペットの不妊手術だとか、お見合い会への報奨などを上げたことがあった。しかし、地財計画よりも5兆円も公共事業が少ないと問題にしたが、地方は乳幼児医療費無料化、30人学級など福祉・教育を充実するために一般行政経費を膨らました。もし国の決めた交付税の算定基準、地方財政計画どおり、運営していたら、暮らしの困難はもっと広がっただろうし、借金も増えていだだろう。だから「流用」という話は、一見正しいようで、罠である。

 そもそも「流用」といわれる事態がなせおこったか。国が義務的経費に関わる財源を過少に見積もっているからである。     
全国知事会の「平成20 年度地方交付税に関する主張」では、「生活保護費など地方公共団体が義務的に負担している経費において、基準財政需要額と決算額との間に、主なもので合計3.5兆円以上の乖離が見られる。」として、乖離額と乖離率を・難病一般特定疾患治療研究費 ▲ 328 億円 ▲57.4% ・生活保護費(都道府県、政令市) ▲ 439 億円 ▲15.3% ・警察官給与費(政令定数のみ) ▲ 1,976 億円 ▲ 9.4% ・義務教育職員給与費(法定定数のみ) ▲ 2,304 億円 ▲ 7.2% ・公債費(都道府県、市町村) ▲25,262 億円 ▲20.0% として示している。
 また、小さな自治体の経費をまかなうための段階補正も縮小してきた。
地方財政を切り捨てて来たことを抜きに、「流用」という犯罪のごとき語感で語るのは、地方自治、地方財政のあり方を無視した話であり、財源を土木につかうか、福祉・教育に使うかという、住民の要求から見てどうか、という話とは次元の違う話である。
 文部科学省の論理でいけば、地方の国の決めた基準で運営すればよい、ということで、そこには地方の個性も住民自治の発揚も関係なくなる。そこが最大の問題である。

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