「蟹工船」若者共感 売上げ5倍
読売新聞のウェブニュースに「蟹工船」、今年に入って“古典”としては異例の2万7000部を増刷、例年の5倍の勢いで売れているとの報道があった。大手書店が「現代の『ワーキングプア』にも重なる過酷な労働環境を描いた名作が平成の『格差社会』に大復活!!」と書かれた店頭広告を立て、平積みしている。と紹介している。若者が「自分たちのことだ」との声をあげている。これまでも「蟹工船」について書いてきたが(私のマンガ蟹工船もあちこち回し読みされ、返ってこない)、今年のメーデーは全労連系も連合系も、貧困、非正規問題、最低賃金が正面に掲げられたのが印象的だ。
そもそも連合は、80年の社会党の公明党の合意を契機に、大企業の御用組合である同盟との合同という労働戦線の右翼的再編の中でうまれた組合だったが、その前提は、年功序列賃金・終身雇用制という、国の社会保障制度の不備を企業の福利厚生を通じて補い、労働者を統合し、企業意識を醸成するところに資本の側の意義があった。それが、財界が90年代に日本型雇用の解体をすすめたことで、連合のよって立つ基盤が崩れることになった。連合も闘わざるを得なくなった。新自由主義が席巻しているように見えて、支配構造として弱体化している。強引さは強さのあらわれでないと見ている。
目先の利益で、人の生活も、社会を支える人材育成も、安定した社会形成も、環境と食料の維持もままならない、利潤第一主義の体制からの脱却が必要な時代となっている証左だ。そのことを見抜きつつあることが「蟹工船」の再ブームとなっているのだろう。
先日、発展途上僕で暴動にまで発展している食料の高騰対策に、ベネズエラ、キューバ、ボリビア、ニカラグアの中南米4カ国が、1億ドル規模の「食品安定基金」をつくったとの報道があった。なぜ、先進諸国にできないのか・・・。それは財政力の問題でないことがよくわかる。ベネズエラのチャべス大統領は「最近の食糧危機は資本主義のモデルの歴史的な失敗をもっともよく裏付ける事例だ」と述べたと報道している。国連食糧農業機関の総裁も「今の危機は20年間蓄積されてきた誤った政策の結果だ」と指摘している。
科学技術がこれだけ進歩しているのに、なぜ不幸がひろがるのか… 根本から問うことかもとめられている。
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