イラク侵略戦争 空自活動に違憲判決
イラク派兵に違憲判決が出た。米兵空輸は武力行使、空自の活動は九条違反としたものだ。兵站活動のない戦争はあり得ず、極めて常識的な判断だ。そもそもイラク戦争はなんの大義もない侵略戦争だった。そのことが明らかになってきたが大きな背景にあると思う。ただちに撤兵し、九条を持つ国としての真の「国際貢献」に切り替えるべきだ。
この判決に異論をとなえる産経、読売は、イラク戦を支持する立場から主張している。
産経は「イラクでの航空自衛隊の平和構築や復興支援活動を貶(おとし)めるきわめて問題のある高裁判断だ。」「空自は当たり前の支援活動を行っているにすぎない。」「忘れてならないのは空自の活動が国連安保理による多国籍軍の駐留決議も踏まえていることだ。これにより、日本はイラクをテロリストの温床にしないという国際社会の決意を共有している。」と書き、読売は「多国籍軍による武装勢力の掃討活動は、イラクの安定と安全への貢献を求めた2003年5月の国連安全保障理事会決議1483などを根拠としている。イラク政府も支持しており、正当な治安維持活動にほかならない。仮に掃討活動が武力行使だとしても、憲法上の問題はない。空自による多国籍軍兵の空輸は、武力行使と一体化しないからだ。」と主張している。
しかし、イラク戦争は国連の監視検証査察委員会が大量破壊兵器の査察を継続することで事態を解決する見通しを示し、国連安保理はアメリカなどの武力行使容認の要求を拒否していたのに、一方的に開戦に踏み切った侵略戦争であり、ゆえにイラク国民や周辺国民からも支持されず、泥沼化している。少なくとも15万人以上のイラク国民が死亡したと見られている。03年5月の国連決議は、大領破壊兵器もアルカイダともまったく無関係と米国の認める前の決議である。イラク侵略はテロとのたたかいとまったく無関係なばかりか、「パンドラの箱をあける」と事前に警告されたように、戦争がテロを拡大した。「平和構築」や「復興支援」と無縁、いやそれを困難にしている。
この戦争によって米軍需産業が莫大な利益をあげていることも明らかになっている。彼らには絶好の「ビジネスチャンス」なんだろう。また、真の目的は石油資源の確保にあったとう話も事実で裏付けられている。今後30年の石油開発利益を多国籍企業に明け渡すイラクの「石油法」は、米政権の圧力のもとイラク政権が閣議承認したものの、イラク国民の反対があり、イラク議会はいまだに承認してない。イラク国民のための「戦争」というなら石油資源はイラク国民の手にゆだねるのが筋だ。
また、紛争のもとで急成長したブラックウォーターなどの米民間軍事会社のイラク国民虐殺事件(軍事会社の社員は占領直後のイラク暫定政府によって「免責」を与えられている)の真相解明がなされていないなかで、契約更新した米政府にイラク政府から抗議の声が出ている。
先日、米メリーランド大学とゾグビー・インターナショナルによるサウジアラビア、エジプト、モロッコ、ヨルダン、レバノン、アラブ首長国連邦の六カ国の四千人を対象にした調査結果の報道があった。
・「イラクから米軍が撤退すれば、イラクの人々は互いの違いを埋める道を見つけ出せると確信する」61%、前年より17ポイント増。/イラクの不安定な状態が続き、周辺諸国に拡大することが最大の懸念 59% 17ポイント増。/イラクの暮らし向き 侵攻前の方が良かった 80%。
この戦争の支持によって中東にあった日本への信頼感、親近感、欧米諸国にない独特の国際的影響力を発揮できる地位をうしなったことを、アフガンで活動する中村医師や武装解除にとりくんだ経験をもつ伊勢崎氏が危惧する話をしている。大義なき戦争が如何に悲惨なことに結びついたか、それを支持したことの意味合いを、この判決を契機にきちんと総括すべきだ。
九条の会の呼びかけ人で評論家の加藤周一氏は、国際貢献というとアメリカとの武力行使だという論立てをキチン度議論すべき前提を欠いた議論と批判している。まず、「国際」とはなにか、アメリカなのか、国連なのか、非同盟諸国なのか、何を基準にするのか 「貢献」とはなにか。経済、医療・教育の貢献の道はないのか。「定義」を明確にせずに、「国際貢献に賛成か反対か」「テロとのたたかいに賛成か反対か」というのはトリックだ。九条をもつ国でしかできない平和の貢献、話合いのリーダーシップ。テロの土台となる貧困と欠乏の解消・・・やるべき方法はたくさんある。
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>この戦争の支持によって中東にあった日本への信頼感、親近感、欧米諸国にない独特の国際的影響力を発揮できる地位をうしなったこと
そんなことはありません。
当のイラクのアラウイ首相もサマワをはじめとする日本の援助に感謝を述べております。
いったどこに地位を失ったという証拠があるのでしょう?
それは反日側の希望的意見では?
日本共産党関係者がインドネシアに行って戦時中所謂『従軍慰安婦』が居ないか探しに行ったのに、現地の人から「何しに来たんだ。独立を助けてくれた日本に感謝している。」という話しか聞けずすごすごと帰ってきたのと似てないですか?
とこで今世界でも日本でも大問題になっている「チベット問題」についてのご意見はいつになったら載るのでしょう?
大戦後中国共産党により数十万人以上のチベット人が殺されたと言われています。
チベットの女性は漢民族に強姦され、男性は性機能を失わされ、チベットを漢民族の住む土地にしようと民族浄化・ジェノサイトとなっております。
去年ヒマラヤを越えて亡命しようとしたチベット人を中国軍の兵士が遠くからライフルでまるでゲームのように撃ち殺している動画をご覧になっていないでしょうか?
日本を帝国主義とよく言いますが、今チベットにおいてまた新疆ウイグル自治区(東トルキスタン)において行なわれている中国共産党の侵略行為はまさに現在進行形の帝国主義的暴挙です。
パンダも元々はチベット人が住んでいた山地にいる動物で、それを自分の国の動物と宣伝することもおかしいのです。
日本共産党はチベット問題にどのような意見をお持ちなのでしょうか?
Posted by: TADA | April 18, 2008 06:46 PM