地方の苦悩 消防広域化
政府が2016年までに、人口30万人をめど消防の「自主的」を広域合併の方針を出している。消防は住民に密着した市町村の業務であり、国や県の指導をうけいれない権限が法に明記されているが、財源も市町村が責任をもつ。そのため少子高齢化の進む地方では交付税が減少し、既存の体制、装備の維持がむつかしくなってきている。地理的に距離のある高知では火災は、消防団とも協力し自治体が責任をもつ体制は変わり様がないだろう。問題は救急搬送である。
1人暮らしの高齢者が増えたこと、地域の救急病院体制の交代で、救急出動の回数と距離が激増している。 高規格救急車は一台3千万円。3人が乗車するが、3班でまわしているので9人が必要。人件費も年数千万円になる。
それをどう維持するかで、でてきたのが高知県の1ブロック構想。42カ所の署所と53の消防分団は維持される。
しかし、課題も多い。15消防本部があるが賃金も勤務体制も違う。どう整理するのか。
高知市は電話通報すれば通報位置と最寄りの出動可能な車両が瞬時にわかるシステムをもっている。1ブロックにするとなると、それに対応する設備投資を他の地域もおこなうのか、それとも通報をうけるのは旧15本部でやるのか。現場がわからないと指示がだせないので、1本化して指示を出すのには無理があると思う。
消防団との連携など地域との距離が遠くなり、結果として住民サービスの後退になるのでは・・・等など。
今日、担当の話を聞いたが、県は、2016年にこだわらず、強制もせず(法的にできない)34市町村が協議して、もっとも効率的な姿を模索するという協議をするというスタンスのようだ。
一次産業、地方切り捨てのもとで過疎が進行する高知県として、苦渋の選択である。
さらに、政府は2016年5月に消防の通信網をデジタルに切り替えることを方針としている。それには中継基地の増設など130億円あまりかかるがねこれも市町村の負担で行うこととなっている。高度化、近代化といいながら、実際は、その負担で実働部隊が削られていくということとなる。県の担当者は「今の財政状況では、とても実施は無理」という感触をもっているようだ。
地方の切り捨て、そして土建に変わる新たな公共工事としての情報化・・・ 結局、借金を自治体におしつけるのは同じなのだが。
1ブロック化は苦肉の策であるが、地方を安楽死させる道具ともなりかねない。農地が荒廃し、国土が荒廃することを前提にした広域化構想には根底のところでひっかかりを感じる。この国の形を問う必要を改めて感じた。
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