後期高齢者医療と療養病床削減
本日、後期高齢者医療の保険料が天引きが実施された。怒りが日に日に広がっている。この怒りを療養ベッド削減の問題と結び付けることが大事だ。この療養病床削減と後期高齢者医療制度は同じ法律(そのおおもとは医療制度改革大綱)によってすすめられているからだ。高知は8000床が3000床となるが、たとえば東京は現状のベッド数が少ないため7000床の増床計画となっており、全国で温度差がある。今月、27日の医療・介護シンポの成功も力にしたい。以下は法の関連部分とプチ解説。
【高齢者の医療の確保に関する法律】
06年6月14日、自民党、公明党の医療制度改革関連法案の1つとして強行採決で成立した法です。
◆第一章「総則」
・第1条 目的 「医療費の適正化を推進するため… 」
・第2条 基本的理念 「国民は、自助と連帯の精神に基づき、自ら加齢に伴って生ずる心身の変化を自覚して常に健康の保持増進に努めるとともに、高齢者の医療に要する費用を公平に負担するものとする。」
・第3条 国の責務 「医療に要する費用の適正化を図るための取組が円滑に実施……運営が健全に行われるよう必要な各般の措置を講ずる」
……「医療費適正化」を主目的にした初の法律です。自助、連帯など国民の公平な負担をうたう一方、国の責務は、費用の適正化と後期高齢者医療制度の円滑な実施だけという、憲法25条を無視した法律です。
◆第二章「医療費適正化の推進」
・第8条 「厚生労働大臣は……医療費適正化に関する施策についての基本的な方針を定めるとともに、五年ごとに、五年を一期として、医療費適正化を推進するための計画を定めるものとする。」
…例えば、特定健診の実施率が低いところには、後期高齢者への国保などから支援金が一割内で積み増しされます。
・第10条 「厚生労働大臣は、「都道府県医療費適正化計画の作成上重要な技術的事項について必要な助言をすることができる。」
…医療型の療養病床の削減は、この「必要な助言」としてなされています。(診療報酬等で、経営が成り立たなくし、病床数をコントロールする仕掛けとなっています)
★介護療養病床の廃止は、関連法案の1つとして同日の介護保険法改正案により強行採決されたものです。
この削減を強制するのが14条!です。
・14条 診療報酬の特例 「医療費適正化を推進するために必要があると認めるときは… 他の都道府県の区域内における診療報酬と異なる定めをすることができる。」
… 医療費の多い県は、「診療報酬を引き下げ」て、医療サービスの制限、医療機関の淘汰を強制するシステムです。
◆第四章「後期高齢者医療制度」
-- こういう構成となっています。
このように、「後期高齢者医療制度」と「療養病床削減」は「医療費適正化」を目的にした1つの法律によってすすめられたものです。
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今日15日から、年金からの強制徴収が始まった後期高齢者医療制度。
私も久しぶりに市役所前での「後期高齢者医療制度の年金天引きを止め、廃止を求める怒りの昼休み高知県民集会」で一席ぶちました。
★
皆さん、この後期高齢者医療制度というものは日本の家族を壊す働きを持っていることに注目しなければなりません。
「何時でも・何処でも・誰でも」平等に社会保障を受ける権利を有する家族をばらばらにするのがこの姥捨て制度です。後期高齢者への冥土保険です。
皆さん、無駄な高速道路が次から次へと建設中ですが、その上で行き先が無くて立ち往生する救急車がでるという、まるで漫画のようなことが現実に起こっています。高知市での110億円をかけた新堀川道路は、医療の崩壊の前には工事の優先順位はずっと低いのではないでしょうか。
年を取った方からも「何時でも・何処でも・誰でも」年金を取り上げる、このような悪い制度は廃止の道しかありません。
Posted by: 下司孝之 | April 15, 2008 10:41 PM