日本を餓え死にさせないために。5月31日 農業再生シンポ
先日「コメの作りすぎはもったいない」という東北農政局ポスターに怒りの声が上っていたが、まあ日本の農政は井の中の蛙というか、亡国というか…。世界的な食料不足を背景にインド・ベトナム・ウクライナ・アルゼンチン・ロシア・中国などの穀物輸出国は、国内むけの供給を優先して輸出の規制・抑制に踏み出している。週刊エコノミスト(4/1)が「日本が飢え死にする」「食糧は『戦略物資』カネさえあればかえるは大間違い」と特集を組んでいる。
農業情報研究所によれば、「世界の米不足が深刻化、国際価格が急騰して止まらない。3月11日の競売で、緊急自体に備える備蓄が底をついたフィリピンは、55万トンの希望に対して32万5000トンしか落札できなかった。生産調整強化だ…などと大騒ぎの日本も、ちょっと先には同様な運命が待ち構えているかもしれない。」と06年1月に1トン300ドルだったものが、08年4月800ドルに跳ね上がっているグラフを紹介している。
また、最大の米輸出国のタイで、「タイ南部農業経済事務所(OAE)の調査により、政府のバイオディーゼル利用促進政策が熱帯果実や米も含む食料生産用農地のオイルパーム(油椰子)農園への転換を加速している事実が確認された。」とし、南部の”米ばち”と呼ばれるパッタルン県の農業事務所主任の「10年前、県にはおよそ57万rai(9万1200ha)の水田があったが、オイルパームへの転換で40万rai(6万4000ha)にまで減った」「県が米不足に陥るのは時間の問題だ。」とのコメントも紹介してある。
こうした中で、村田武・愛媛大学教授は、東アジアでの食料供給力の向上が課題となっていると、「東アジア共通農業政策」が大事だと指摘している。これは、EUは「共通農業政策(CAP)」で、共存共栄で自給率を向上させてきた経験がある。1961~2000年の各国の食料自給率は
・フランス 99→ 132%
・ドイツ 67→ 96%
・イギリス 42→ 74%
・オランダ 67→ 70%
・スペイン 93→ 96%
・
日本 78→ 40% である。
経済財政諮問会議の中で、国境措置を全廃すれば食料自給率が12%になると農水省が報告していたが、民間委員らは「安定して輸入できる関係を築けばよい」と能天気ことをいっていた。そうした話が通用しないのは、昨今の国際情勢をみれば明白だ。同時にこの報告で、あまり注目されてないが、耕地面積の6割相当が減り、
・洪水防止機能 67%減、
・河川流況安定機能 90%減
・地下水涵養機能 90%減
・土壌浸食防止機能 59%減
と農業の多面的機能を破壊し、国土保全に重大な影響を与える。「この国のかたち、日本人の生き方そのものに大きくかかわる問題」である。この機能は決して輸入できない。
小麦の卸値の3割アップなどにあり、3人に1人が米飯を増やすという調査が日本農業新聞(3月5日付)に乗っていたが、真剣に食料自給に本格的に舵を切るときだ。
先日、日本共産党が農業再生プランを発表した。新たに4000億円あればコメの生産者米価60キロ1万8千円が確保できるというもの。5月31日(予定)に、南国市で農業問題のシンポジウムを予定している。各地の農協、生産者組合とも懇談をひろげている最中である。
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