非正規雇用に警告 2つの国際機関
この半年、2つの国際機関から日本の非正規雇用の拡大に警告の文書がだされている。
経済協力開発機構(OECD)は7日、08年の「対日経済審査報告書」で、日本では雇用全体に占める非正社員の比率が3分の1を超え、低賃金で働き、短期間で転々と職を替える人が増えていると強調し、日本の労働市場は「公平と効率の面で深刻な懸念を引き起こしている」と指摘したと報道されている。
07年11月には、ILO(国際労働機関)本部雇用総局が、日本の非正規雇用の拡大について「現状見られる低賃金・低保障の非正規雇用拡大は短期的に日本に競争優位をもたらすが、明らかに長期的に持続可能ではない。国内消費の低迷は国内総生産の伸びを抑制する上に、非正規雇用では経済成長の源泉となる人的資本の形成がなされにくい」とリポートしている。
しかし2つのレポートには対策に大きな違いがある。前者は正規雇用の流動化であり、後者は正規雇用の重要性に点いて語っている。
一方、日本経団連の「経営労働政策委員会報告」という報告書でも「従来ほとんど起こらなかった工場での大規模な事故が頻発している。……一連の事故は、高度な技能や知的熟練をもつ現場の人材の減少、過度の成果志向による従業員への圧力が原因ではないか、との指摘もある」(04年度版)、「よい人間関係が存在しない荒涼たる職場に、高い生産性は望めないし、問題解決能力を期待することはむずかしい」(06年版)、そうした危機感から「日本的経営の再評価・再構築」を提起(07年度版)し、08年度でも「雇用関係の軸足を長期雇用においていく」と述べざるを得なくなっている。しかし、実際には、残業代不払い法案の制定をねらったり、正規雇用の非正規化を柱としている。
ここに19世紀から続く資本と労働者のたたかいの場がある。企業に対する社会的な規制が必要だ。
人件費削減のため管理職と決めつけて残業代も払わない「名ばかり管理職」に対し、マクドナルドの店長の訴えを認め、東京地裁が残業代の支払いを命じ、1日には厚労省が「十分な権限や待遇を与えていないにもかかわらず、管理監督者と扱っている例もあり、なかには著しく不適切な事案もみられ、社会的関心も高くなっている」と是正をはかる通達を出した。
「若者はモノ扱いする社会に未来はない」の声を広げていこう。
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