薬害肝炎大阪弁護団と懇談
3月20日、午後からの相談会に先駆けて、日本共産党高知市議団と弁護団との懇談会が開催され私も参加した。会には県議団、高知肝臓友の会。原告団も参加して約1役時間の意見交換をした。
大阪弁護団とは… 06年7月に公立病院のカルテ保存を求めてほしいとの話が市議団に来て、県と高知市に申入れ保存が実現。この決定が弁護団が全国の自治体に働きかけるときの力になったとか、企業責任にも言及した先進的な意見書決議など …そうした運動上の交流もあって、今回、懇談会が実現した。そのときの弁護団の方を話された内容(下記に私なりに勉強したことを整理)は、今後の自治体の取り組みについても大いに参考になった。
● 大阪弁護団のファックス相談も紹介しておきます。
【懇談会で弁護団の話から学んだ中味】
1月11日、被害者救済法が成立。全員一律救済と言われるが、個別補償は、フィブリノゲンなど8製剤を使用した人だけが対象。それには証明が必要。しかし20年以上前のことで、カルテ、記録がない人が多い。それで「製剤が使用されたと思うが証明できない」と不満の声があがっている。かもしれないでは救済されない。それはこれらの製剤が一部の病院、一部の診療科でしか使用されてないので、広く国民全員が関係しているといえないから。田辺三菱で28万人に使われ1万人が感染している。しかし、今、原告は300人。頑張っても1000人。9000人が救済されない。ウィルス性肝炎患者は350万人、C型肝炎は200万人。その多くが輸血などの医療行為で発症している医原性とみられる。それらの人を救うには、個別補償だけでなく、治療支援と生活支援の水準をあげていくことが必要。原告団と政府の基本合意では、すべての肝炎患者が安心して暮らせること、二度と薬害を繰り返さないための徹底した真相究明が入っている。救済法の付帯決議にもなっている。
3月17日、厚労省との定期協議があつた。年一回は厚労大臣が必ず参加することを協定した。薬害エイズに続くもの。ハンセン病も定期協議しているが副大臣。大臣参加は大きな前進ととらえている。そこで①治療体制。インターフェロンの助成。国と自治体半分ずつ負担し、助成が始まった。この助成を拡大する。しかし、インターフェロン期、肝がん、肝硬変には役に立たない。肝がん、肝硬変の人の生活、治療の支援をどうするかが重要な課題。例えば、身体障害者手帳を取れるようにする。障害年金も一部でるがその基準を拡大する。高額医療費の特定疾病に加えるなど。②再発防止の検討会議も始まる ③個人の救済。厚労省の418人のリスト。田辺三菱が3800名のリストを持っている。その他医療機関など計1万人のリストがあるが、告知分は4000人。他は告知しでてない。情報で提供ても全体の数字で示すのでなく、○○病院で投与何人、告知何人で、あと何人が告知できてない、という具体的な情報提供があれば、「自分は告知されてないのでは」という意識に結びつく。その作業をしている。昨日、県立中央病院の担当の方とあった。半分告知。あとは調査中。高知大学も半分告知であと調査中。この中で、高知市が個人情報保護条例を盾に住所の照会に応じなかったが、命に関わる問題であり、条例にある本人の同意が必要ない場合にあたる。他の民間病院にもお願いしてきた。
・治療体制の充実などをもとめる意見書が必要
定期協議で舛添大臣は「障害者手帳、特定疾病なども調査して対策をとる」と言っているいるときなので、地方から意見がでることが重要。インターフェロンの助成の拡大、肝がん、肝硬変の治療、生活支援。障害一級になれば治療費は無料。障害認定は身体的障害が中心だが、薬害エイズの時、HIVによる免疫機能の低下も障害と認めるべきと交渉して実現した。1~3級が認定。大きな前進。薬害肝炎もウィルス性で進行性があり、HIVと同じ構図なので、認定できるのではないか、と求めている。
個別救済には、記録が必要だがその認定ルールの拡充を求めている。母子手帳には出産の状況、手術の有無、主治医なども書いてある。もし、出血が多い状況で、そのときの病院、主治医の治療方針が止血剤としてフィブリゲンを使うものであり、また実際に薬剤も納入されていた。こうした状況証拠があれば認められるよう、裁判の判例で積み上げて生きたい。病院から製薬会社にアクセスすれば何年何月に納品という細かなデータももらえる。ただ抜けている記録も多い。フィブリノゲンは、常置薬。使ったら補充する。だから納品したというのは使った可能性がある。そこで、医療方針としてフィブリノゲンを使う方針だったことがわかれば、個別の立証ができない場合も有力な証拠となる。
障害手帳とは別に障害認定されれば障害年金の2級、3級が受け取れる。ただGPTなとが常時100を越えてなくてはならず、治療すれば100以下になり、そうすれば年金がもらえなくなる。決して治ったわけでない。基準がきびしすぎる。
・カルテがない、という相談について
相談の℡がつながらない状況。ファックス相談用紙を作っている。すべての個別事案に回答する。
H17年に調査したときは簡単な調査でカルテの有無、投与の有無を聞くものだったが、カルテがあるは7.6%だった。しかし、昨年の調査では、分娩台帳、手術記録はないか、と対象を広げて聞いたら、何らかの医療記録があるところが25%だった。
田辺三菱は自分の持っているリストとの紹介をフリーダイヤル(0120-614―600)で対応している。
・全員一律救済の意味について
証拠があり、個別救済になると2千万円とか支給される。「カルテがないから救済されない、だから全員救済(個別救済)を」というスローガンは聞こえがよいが、運動のスローガンとしては間違い。実現できない目標を掲げているから。因果関係がはっきりするので保補償れる。そうでないもの、薬害肝炎で無い人も含めて全員個別救済とはなりえない。
正しくは「カルテが無いであきらめないで」・・・様々な接近方法がある。また、全員救済とは、生活支援、治療支援の充実を求めること。そこをハッキリさせることが重要。国会に「肝炎救済基本法」がかかっているが、こういうものが出来、法的根拠を背景に、生活、治療支援の充実をもとめたい。
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ご苦労様です。20日に高知共済会館で患者会の立場から説明させていただきました。
インターフェロンの治療費助成制度が4月から始まります。この制度はいろいろな不備を持っています。
患者の立場からも改善のためにがんばりますが、議会筋でもきちんと指摘していただき、肝炎対策の改善・拡充のためにご協力をお願いします。
Posted by: sin | March 24, 2008 05:32 AM