まちづくりと「無補償の制限」
昨日の補足。分権時代の条例を考える上で、権利制限の合理性をどう築いていくかが問われている。憲法29条で財産権は保障されているが、一方で、市街地調整区域、第一種低層住宅地域の指定や学校の近くには風俗施設が建てられないなど各種の「規制」が存在していいる。それは13条の幸福追求権とそれにもとづく「公共の福祉」という規定から、「規制」が個人の利益を制限する社会的利益があるとするからだ。これを「無補償の制限」という。
自治体の裁量権にもとづく規制には、「無補償の制限」を正当化する合理性が必要になる。だから、行政が一方的に決めるものは通用しない。市民参加、市民合意を重ねるとともに、一方では、まちづくりの基準に適合な事業なら、理不尽なクレームを行政が排除してスムーズに進めていけるという公平性も必要だ。
合理的な基準・・・これは様々な運動の結果を反映する。つまり、憲法25条で「文化的で健康な最低限度の生活」と規定されていても、数字の基準はない。構造改革路線のもと、国民が分断され、権利が切り捨てられる負のスパイラルの陥れば、その基準はどんどん引き下がる。運動や選挙を通じ、雇用や福祉の水準があがれば、基準もあがる。
その合理的な基準を確立するためには、市民がまちづくりを担う力をつける、そして参加できるルートを築き、広く合意の水準を高めていく過程が大事となっていると理解している。
(昨日からの論点には、上智大学の北村先生、国分寺市で条例づくりを担った松本氏の著書等に大いに学ばされた。)
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