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道州制 「中間報告」 雑感①

 先日、政府の道州制ビジョン懇談会の「中間報告」が出された。スケジュールとしては、道州制基本法案を2011年の通常国会に提出し、2018年までに道州制に完全移行するとしている。素人ながら、報告を読んで、気づいた雑感をのべてみたい。総じて、なぜ、都道府県制ではダメかの具体的な話がない。自民党政治の中味を抜きにして、すべて現在のシステムに罪をかぶせている。また問題点を認めざるを得なくなっているのに「改善」できると論証抜きの開き直り…  多国籍化する財界の利益のためなのに、それをごまかして「理由」を述べようとするので、無理がやたらと目立つ、というのが率直な感想だ。まずは現状分析について。

◆「1.現状の問題点」に見る「理由」のなさ
①「日本を衰退させる中央集権体制」という証明なしの断定
「人類の文明がそれぞれの満足を求めるものとなり、国境が稀薄となるグローバル化が進展している現在、日本の中央集権体制は有効性を失い、国民生活のさまざまな側面において数多くの弊害を発生させている。」となんら証明ぬきに断定している。
②「東京一極集中による地方の疲弊と地域間格差の拡大」は制度のあり方でなく自民党政治の結果だろ
「中央集権体制によって、東京圏に頭脳的機能が集中する一方、地方は製造業や建設業の現場など、いわば「手足の機能」ばかりを担うかたちになった。これでは、地方は徐々に疲弊し、地域間の格差は拡大の一途を辿るのも当然だろう。また、東京でさえもが、国際的地位を下落させ、世界に対する影響力を失いつつある。このような状況が続けば、国全体としての活力、国力を大きく低下させるのは必至である。いま我が国が早急に取り組まなければならないのは、各地域が繁栄の拠点として世界の発展と変化に伍していける活力を回復できる新しい体制を整えることである。
 → 一次産業、中小企業を切り捨ててきた自民党政治の問題。
「東京さえも」という主張には前後のつながりがない。一極集中している東京の衰退と別に原因があると考えるのがすじというもの。
③「無駄遣いと巨額の財政赤字」の責任を国家官僚に転嫁
「中央集権体制では、行政の実施者である国家官僚と地域住民との間隔がはるかに遠く、国家官僚にコスト意識や経営感覚がなくなる。現在日本が抱える巨額の財政赤字と国民の負担はこうしてつくられたといっても過言ではない。」
 → 自民党政治のもと政財官の癒着構造の結果であり、制度の問題とは別だろう。
④「グローバル化のなかにおける日本経済の停滞」の原因をアベコベに描く
「(新興国の)発展の理由は…自由化と競争の促進である。とくにEUでは通貨統合や労働移動の点で加盟国間の障壁をなくし、各国が相互の善政競争を通じて民間企業の活動を活発化させることで、全体の経済力と文化力を高めている。日本においては、中央政府による過剰管理と縦割り行政が地域の創意工夫に基づいた経済政策の発展を妨げ、企業、とりわけ中堅・中小企業の潜在力を引き出せずにいる。これが日本経済停滞の大きな要因である。」
 → EUによる社会的規制の高さを「自由」といい、日本のルールなき資本主義を「過剰な管理」とアベコベに描く。
⑤「中央官僚と国民の意識改革の必要性」論には、政治の責任が抜け落ちている
「国の官僚の間には、…独善的になる傾向がみられる。」「一方では、地方自治体などから自立心と責任感を喪失させ、社会全体に依存心や甘え、諦観を引き起こしている。」「国全体が活力を取り戻すためには、国民に自助と自立の精神を引き起こし、地域が実質の自治を獲得すると同時に、公務員が国民への奉仕者としてみずからの仕事に責任と誇りをもち、国民から信頼されるような体制を整えなければならない。これこそが日本に健全な民主主義をもたらすもの」
→ 自民党政治の政官財ゆちゃく、土建大国の責任を抜きに、国民に「自助と自立」を強制するものである。
⑥「不十分な広域行政化と地方分権」 三位一体改革など暮らし、地方切り捨てを評価
「基礎自治体の財政力基盤を高める必要性などによって、市町村合併が進められてきたが、都道府県については明治21年以降ほとんど変更がなく、いまだに行政単位は47の「細切れ」状態にある。」「現在の都道府県の大きさでは、広域自治体の単位としては狭小となり過ぎ、地域経済活動活性化や雇用確保など地域や住民から求められている課題に対応できないなど、行政の効率性が著しく阻害されている。また、中央政府の効率化と地方自治の拡充のために、中央省庁の再編、地方分権一括法、三位一体の改革、構造改革特区、道州制特区などが推進されてきた」
 → 「細切れ」と情緒的表現。経済、雇用に対する国の責任はない。なぜ県でダメかの論証なし。
  → 「三位一体改革」など地方切り捨ての流れと一体であることを告白している。
いいだせは切りがないが・・・
大森彌東大名誉教授・元地方分権推進委員会専門委は「なぜ現行の都道府県制を廃して、道州を創設しなければならないのか、その必要性が国民に殆どまったく説明されないまま、道州導入が自己目的化しつつある」(自治日報・2007年7月27日)と言っているがそのとおりだろう。
 次回は、その狙いについて雑感を書いてみたい。

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