もう1つの国際貢献 カストロ議長引退
キューバのカストロ国家評議会議長が国家元首にあたる議長職を引退する意思を表明した。
とにかくアメリカから目の敵にされてきたキューバであるが、9条をもつ日本の国際貢献とは何か、を考えるうえで決して経済的に力のある国でないキューバの医師派遣、養成など国際貢献のあり方は、考えさせられる。
中南米、アフリカ、アジアなど69カ国に1万6千人を越えるという世界で最も多くの医師を派遣している。
さらに、05年のグアテマラの台風被害700人。パキスタンの地震被害2283人、06年インドネシア地震被害135人を緊急派遣。(「カトリーナ」被害の時、キューバ政府は1500人の医師を送る準備があるとアメリカに伝えたが、アメリカが拒否した。ちなみに同時期のハリケーンの時、キューバは死者ゼロ。避難所には、個人の投薬情報をもった医師がおり、対応した)。チェルノブイリ原発事故での子どもの治療を1万人以上、無償で受け入れている。キューバの「ラテンアメリカ医学校」は、110カ国から2万人近い大学生を受け入れ、そのうち1万人近くが医師。すべてキューバ政府の負担だ。さらにベネズエラと共同で実施している「奇跡計画」は、2016年までに、ラテンアメリカ・カリブ海地域の、すべての白内障患者の視力を取り戻そうと毎年60万人ずつ10年間で計600万人を治療する。もちろん無料だ。医療費はキューバが負担。渡航費用と2~3週間にわたる食費・宿泊費一切はベネズエラ政府が負担する。昨年12月には、100万人の手術を実施したことが報告された。また、識字運動など教育援助も行っている。有機農業、自然エネルギーなどエコ大国としても知られている。(医療も、教育ももちろん自国でも無料だ。小学校は20人学級。人口165人に1人の医師数)
カストロ議長は、アメリカ政府が7000億ドル近い軍事費を費やしながら、地球温暖化対策に後ろ向きになっていると批判し、地球環境の問題には、市場や競争の原理ではなく、全人類的規模での「連帯と人権尊重の精神で対処することが必要だ」と述べたと報道されている。
これらの行動が、アメリカの圧力のもとでも、経済封鎖を直ちに解除するよう決議案を、06年の国連総会で、賛成183、反対4(米国、イスラエル、マーシャル諸島、パラオ)と4カ国という圧倒的世界の共感を生み出している。
在日米軍の事件、そして海自イージス艦の衝突事故を見るにつけ、少なくとも、こうした外交姿勢、国際貢献のあり方では、アメリカいいなりに給油活動やミサイル防衛に参加をする日本とは違う。考えるべき内容が多々あると思う。
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この2月、文中のラテンアメリカ医学校を見学する機会に恵まれました。
医学生は1学年、3000人から4000人居るとのことでした。
高学年になりますとキューバ各地の医科大学に分散するようですが、それにしても大勢ですから量と質に対しての質問が飛び交いました。
カビリア海に面したハバナのはずれにある医学校では、拾い敷地内に拡声器でラテン音楽を流し、通りかかった医学生達は近隣の国々から来て無償で教育を受けているといっていました。
女性が51%、アメリカからの受け入れもあり、それぞれ母国に帰って医療に励むことが条件といえば条件のようでした。
Posted by: 下司孝之 | February 21, 2008 08:43 PM