まるごとリストラ 県立大学の独法化
県立大学の改革は、十分な学内の合意が出来てないことがあきらかになり、昨年9月議会で頓挫した、そこで12月議会で自民党が「一部の不満分子のために改革ができないのは問題」と新知事になけがけ、独立行政法人化に前向きな答弁をしたことで、高知県でも大学の独立行政法人の問題が急浮上してきた。
とにかく酷い法律である。公務員を削減は一般的に強制的に解雇はできないため、退職不補充とかでやっているが、この法は、組織を別法人に移し、職員の公務員の身分を奪い、まるごとリストラできるというとんでもない法だ。運営も、ある人は「旧ソ連のような官僚統制大学だ」と言っていたような代物になる。
知事が、中期目標をたて〈議会の議決がいる〉、その目標にそって知事が任命した評価委員会〈議会の議決は必要とはなってない。本則には「執行機関の付属機関」という規定がある。評価委員会の設置条例に議会の議決を入れることも可能かも〉が、毎年、事業を評価する。そして6年間〈大学の特例、他の事業は3~5年〉の期間の終了後、「業務」の存続も含めて検討する。「廃止や民間への売却=丸ごとリストラ」も可能なわけだ。
独立行政法人の理事長は、知事が任命する〈議会の同意は必要ない〉、その理事長が、理事や職員を任命する。教員については、これまで適用のあった教育公務員特例法の規定が適用されなくなる。教育公務員特例法は、「教員の採用及び昇任のための選考は、教授会の議に基づき学長が行う」とし、教授会の教員人事に関する権限を定めているが、それがなくなる。大学自治の中核である教授会の人事権がなくなる。
学長と理事長が別の場合もあるが、理事会が最終的に学長を決めるため、学内の意思と反する場合が生まれる。高知大学での学長選の混乱も、独立行政法人の仕掛けによるものだ。
教職員が公務員となくなることで、年俸制や任期制も導入されている。その仕掛けが、職員給与ついて、地方公務員法の「生計費」や「職務に必要とされる技能、職務遂行の困難度」という文言が削除され、「業務の実績を考慮して定める」ことになっているからだ。各地の中期目標では法のその業務を「効率的、効果的に行わせる」という目的にそって、人員削減が目標とされている。独立行政法人化した大阪府立大学では、たとえば、民間企業などとの共同研究による外部研究資金の獲得額を法人化前に比べて30%増加させること。人件費、管理経費などは7%の削減させる。また10年間で教員を25%の削減する、こうことが目標として掲げられている。
大学の役割は、本来効率や収益だけでははかれないわけで、住民力を育てる研究、歴史・文化の研究など県民、県政にとっては大事であっても、すぐに効果がでないものは切り捨てられる危険がある。しかも、そうした、学問の自由を担保するための教員の身分の安定という国際的に確立したルールを破壊したため大学自体の力の大きく低下する。横浜市立大学や首都大学東京では、勤務成績による年俸制や任期制が導入され、その結果、両大学で3割近い教員流出を生じ、学生の募集も少なくなり、大学の研究・教育の水準を低下させている。すでに独立行政公人化している国立大学でも、短期的に成果のあがらない研究、論文になりにくい研究はさけられてきているという弊害が指摘されている。
高知は、病院PFIで痛い目にあっているのだ。安易に政府の行革ツールにのれば、取り返しのならない損失を有無危険がある。毒入り行政法人だ。2月県議会での論戦の1つのテーマになる。
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