ドル特権の終焉か 歴史の皮肉
[ダボス(スイス) 23日 ロイター] 著名投資家のジョージ・ソロス氏は23日、世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で、世界的にドル離れが進んでいるとの認識を示した。同氏は「金融市場には保安官が必要だ。世界はドルを買い増すことに消極的だ」と発言。「現在の危機は、ドルを国際通貨とする時代の終えんを意味する。ワシントン・コンセンサスではなく、新しい保安官が必要だ」と述べた。---と報じられた。
「ドル特権」にあぐらをかいてきたアメリカの経済覇権が揺らいでいる。皮肉にもその引きがねは、新自由主義の政策の上に金融工学を駆使したサブプライムローンの破綻と投機マネーによる原油高である。
アメリカは貿易と財政の「双子の赤字」を抱えている。黒字を続けてきた「所得収支」も急速に悪化している。以前も「ドル特権」に触れたが、ドルが下落し、資金が流出してもドルが世界の基軸通貨である限り、金融緩和し、ドルを増刷すれば支払いには困らない。ところが、その「ドル特権」、基軸通貨の地位が揺らいでいる。
1月4日付けの赤旗主張は「ユーロの定着、産油国のドル離れの動きに加えて、中南米・アジア諸国が、ドル基軸体制を支えてきたIMF(国際通貨基金)から自立し、地域の自主的な通貨政策を模索し始めていることです。 こうした流れは世界経済の構造変化に根ざしています。各国通貨の実力を表す購買力平価で見ると今年、世界経済に占める先進国の比重が初めて5割を割り込む見通しです(IMF推計)。米国の比重が2000年の21%から19%に低下し、代わって中国の比重は11%から17%弱に伸びています。」と、それが世界の構造変化にあることを述べている。
ここでも、皮肉にも旧ソ連が解体し、一国覇権主義の環境が出来たころから、「冷戦」という構図のもとでアメリカを軸に結束してきた道から、イラク戦争の賛否に見られるように、各国が自主的に行動を開始したことがある。
「おごれるもの久しからず」というが、歴史の皮肉、いや力強さを感じる。
さて、日本はどうする。アメリカから毎年、「年次改革要望書」をつきつけられ、唯々諾々と従うだけでいいのか。大本から見直しが必要だ。
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