地域ケア構想 県の説明
月曜日、県議団にお願いし、県の担当者から地域ケア体制整備構想(法律ではなく、国の「技術的助言」として通知によって進められているもの。)についてレクをうけました。県の説明の結論は、削減される療養病床は、新型老健施設(一部特擁ホーム)に転換するので「難民」は出ない(在宅にもどる人は287人という計画)、介護が必要になっても自宅・住宅で暮らしたいという高齢者の願いに応えるものということで。、病院には新たな資本投下する力がのこっていないので、転換への条件緩和を国に求めているというものでした。
本当に、そうなのでしょうか。
国は医療区分1の人は「医療の必要度が低い」として再編の対象にしている。しかし、昨年、12月6日の検討会で「この医療区分1といわれる中に脳血管障害とか、心臓病とか、肝臓病、気管支炎。こういった慢性疾患を持っていて、心臓病でも、慢性疾患がたくさんあるわけですけども、そういった病気がこの中に全部含まれるわけです。医療区分1に。つまり、脳梗塞の後遺症で寝たきりの状態で、関節の拘縮とか、あるいは鼻腔栄養をしている患者さん、こういった患者さんも全部医療区分1なんです。」「医療区分1という、こんないろんなたくさんの病気をもった人も全部医療区分1、これが本当に医療の必要がないと言えるのか。」とドクターである委員が指摘されている。。
そういう人も再編の対象となっている。現行の老健は、看護師による夜間の医療提供はないが、新型老健では、夜間にも看護師の配置が必要とされている。医師は現老健と同じ、オンコール態勢でいくようだ。これで果たして必要な医療を提供できるのか。また、病院の倒産が増加しており、計画どおり転換がすすみ、「受け入れ先」が確保できるのか(この春の診療報酬の改定の中味で、各医療機関の様々な選択が見えてくるだろうが)。介護士の劣悪な労働条件のもとマンパワーの確保ができるのか・・・
国は、療養病床からの新型老健への移行で、医師、看護師の「余剰」が出てくるので、現下のマンパワー不足にも対応できる。とくに医療保険の給付が大きく削減できる。というもくろみだろう。特に、後期高齢者医療制度で、包括医療として医療内容の制限がセットでおそってくる。
ちなみに、県は特養ホームへの移行を900人台で計画しているが、施設基準の緩和がなく新たな投資が必要なこと(クルクル変わる国の方針への医療機関の不信が強いことも、壁となっている)、社会福祉法人をたちあげなければならないことがあり、転換には壁かありそうだ。なお、特養ホームの待機者は県下で1700人、うち在宅者が400人ということだが、療養病床からの転換での建設は認められているが、新規の建設は、枠がいっぱいで認められていないというのもおかしな話だ。
また、この計画は6700床をどうするのが基本。実は、一年前には、8100床あった。それが今6700床。1400床は、一般病棟の障害者施設基準を生かして、転換した。この制度は、重度肢体不自由児(者)、脊髄損傷等の重度障害者、重度意識障害患者や難病患者などを概ね7割以上入院させている病棟を対象とされている。医療区分2・3患者の構成比率が8割に満たない医療療養病棟の多くがこの転用を選択した。この間、療養病床が大きくへっているのに、あまり混乱がなかった背景がここにある。この転換を良しとせず、国は、診療報酬の改悪が検討されている。そうなれば、この部分が、どうなるかはカウントされてない。
こうした医療の必要な人が膨大に存在するのを、新型老健・老健だけで本当に受け入れられるのか。課題が広く大きいため、どのような事態になるのか、容易に想像できない部分が多いが ・・・春には、一昨年に続き、シンポジウムを行うことも考えている。
【各施設の規準、厚労省資料より】
◆医療療養病床
1人当たり費用:約49万円(医療区分毎に加重平均した月額単価に出来高分及び食事療養費を加えた額)
1人当たり床面積:6.4㎡以上医師3人・看護職員20人介護職員20人(利用者100人当たり)
◆介護療養病床
1人当たり費用:約41万円(自己負担分を含む総費用額(食費・居住費を除く)(要介護5、多床室の場合))
1人当たり床面積:6.4㎡以上、医師3人・看護職員17人、介護職員17人(利用者100人当たり)
◆老人保健施設1人当たり費用:約31万円
床面積8.0㎡以上、医師1人・看護職員9人、介護職員25人(利用者100人当たり)
◆新型老健は・・・
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