道路特定財源 県民大会に思う
今度の日曜日に道路特定財源の維持をもとめ「高知県の道路整備を考える県民総決起大会」が開催される。
私たちは、特定財源の一般財源化と暫定税率の廃止をかかげているが、あらためて論点を整理したい。最初に、生活道路の整備は、大切な役割をもっているとその整備を求めているということを述べた上で・・・特定財源問題を考えたい。
まず、特定財源をどうするか、ということの前に考えなくてはならないのは、くらしと地方を守るために、年間83兆円の一般会計、175兆円の特別会計をどう使うかという問題である。小泉・安倍内閣が決めた庶民への増税は、所得税と住民税の定率減税の廃止など5兆円を超す。一方、大企業・大資産家減税は4兆円を超す。そして地方交付税などが5.1兆円も減額され、社会保障費も毎年2200億円削減され、暮らしと地方の危機が急速に拡大している。そのうえ財政危機、社会保障を「理由」に消費税増税が狙われてる。こうした状況の中で道路特定財源問題がある。
公共事業は総額が減っているが、「構造改革」路線のもとで、大型公共事業の予算は大幅に増えている。船の来る見通しも立たないスーパー中枢港湾に、04年度以降の合計で2261億円もの事業費がつぎこまれている。三大都市圏環状道路の整備には07年度だけでも1859億円、大都市拠点空港整備には同じく886億円がつぎ込まれている。一方、この5 年間に住宅対策費は32%削減、下水道や都市公園費は30%を超える減額、災害対策に関係する河川、海岸整備費も30%近く減らされている。河川、道路など身近な小規模工事に対する自治体への補助を廃止し、補助金の採択基準を引上げ、事業の大型化を誘導して身近な事業が切り捨てられてきている。
問題は、こうした暮らし、地方切り捨ての予算の使い方、税金の集め方の転換でと思っている。確かに、行政論で言えば、今の予算の枠組みを前提としたら「特定財源」を一般化したり、暫定税率を廃止したら、その財源をもとにした地方の事業はすすまなくなるが、この問題を契機に、公共事業のあり方、地方分権のあり方を真摯に考えるとこが大事と思う。
一般財源化すれば道路建設には使えないかのような論調があるが、地方にはまだつくらなければならない道路もあるわけで、一般財源化し、地方の裁量権で優先順位を決めて社会保障にも真に必要とする道路にも自由に使えるように配分すべきと思う。たとえば、日本中の地方交付税15兆円に6兆円を一般財源化して上乗せし配分した方が、今以上に裁量権を持って地方の道路整備の予算は確保が可能になると思う。
高知県政でも三位一体改革による交付税の削減などで、一般財源は年400億円も少なくなり、国の補助事業の自治体負担分が確保できず(普通建設事業は、03年1398億円うち補助事業は875億円ですが、06年度はそれぞれ809億円、うち425億円と減少)、県予算は860億円も縮小している。頭金がないため、国の補助事業も活用できなくなっているのが実状だ。07年度で見た場合、国の総道路投資額は8兆860億円。そのうち道路特定財源でまかなわれるのはその6割の4兆8500億円。地方はそのなかのまた4割、約2兆円を道路整備につかっていて、これは全体の道路関係費のわずか4分の1。平成14年度の道路特定財源の地方分・・高知県は150億円だが、その関連事業や補助斯業の自治体負担分で440億円も出費している。地方財源の充実こそ、大事と考えている。
私たちは暮らしを支える地方の財源の確保・・・そのためには大企業優遇税制、軍事費の聖域にメスを入れるべきと考えている。そうすれば5兆円以上の財政ができる。さらに道路特定財源が、一般財源化され、地方に配分されれば暮らしを支える地方の財政をしっかりさせることができる。財源論と温暖化対策を考えれば、CO2排出量に比して課税する環境税も検討すべきだろう。
また、暫定税率の廃止は、原油高騰で苦しむ県内の第一次産業などの経済を守るうえでも緊急対策として重要。全国農業新聞 (2007年11月23日付は「原油高で揮発油税の行方――暫定税率延長には各方面から反発」と題し、「 原油価格高騰で、ガソリン価格も1リットル当たり150円を超え、農業経営をはじめ、車の利用頻度が高い農業者の生活を圧迫している。」「 暫定税率は来年3月末で期限切れになる。期限が切れれば、ガソリンは25円安くなる。」と報じている。もし、地方財政計画の大枠が変わらなければ、地方財源である自動車取得税、軽油取引税の暫定税率廃止しても、その75%は基準財政収入額が減少し交付税として手当されることになる。
道路特定財源は、「この国の形」をどうするか、そういう問題として、議論する必要があると思う。
ちなみに、民主党内にも、特定財源維持の議員は、テロ特措法問題より多いという、民主党は暫定税率廃止を言っているが、造反議員が出て、政府案が通ることになれば、民主党が傷をおい、一気に政局問題となる(暫定税率廃止による2兆数千億円の財源の減少にも関わらず、道路整備は維持するという民主党の主張には無理がある。行きすぎた大企業減税にメスを入れれば問題がないが、マニフェストでも、大企業への減税路線が土台である。財源論で破綻している)。本当に多くの問題が、重なり合う「道路特定」財源問題だ。わかりにくいかも知れないが、たとえば、消費税は5%のうち、1%が地方消費税として地方の収入となっています。消費税をなくす、または減税するということになれば、税制全体の枠組みをかえないかぎり、地方の収入は減ることになります。だから、「消費税率を下げるな」「地方財源を確保するため増税しろ」とはならないはずです。一般財源化、暫定税率を税制の集め方、使い方、地方分権の問題として語り考えて行きたいと思う。
« 「蟹工船」と反貧困 | Main | 暫定税率維持は温暖化対策? »
「経済・政治・国際」カテゴリの記事
- 2502地方議員学習交流会資料 新年度予算案の特徴(2025.02.24)
- 高額療養費制度改悪 がん患者・障碍者団体が声明。知事からも「国家的殺人未遂」と批判の声(2025.02.18)
- システム照準化 運用コスト爆上がり! 「3割削減」の想定を上回る分は国が責任を 中核市市長会 (2025.02.18)
- 「高額療養費」の改悪 国民負担増で、国・企業の負担減(2025.01.08)
- 基礎控除引上げ、消費税減税…絶対額でなく負担比率の変化で見る (2024.12.09)
Comments