病院PFI事業にダメだし 県・市議会が決議
12月26日、高知市議会で全会一致で可決された決議を紹介します。医療センターは、医療・看護の部分は公務が担っており、経営やその他の業務を民間が担っています。しかし、実際は、民間には政策医療の専門性がなく、県と高知市から派遣された職員が医療センターを支えてます。こうした実態を踏まえ、民間(SPC、オリックスを中心とする11社で構成する特定目的会社)に対して、「落第」の判定をしたものに等しい決議です。政府の規制改革・民間開放推進審議会の議長をしていたオリックス社長の事業に、自民党もふくめ議会がノーを突きつけたのは、「官から民」という流れに痛打を与えるもの。 県議会でも同趣旨の決議が27日全会一致であがりました。
高知医療センターの経営改善を求める決議
高知県立中央病院と高知市民病院を統合して設立され、平成17年2月に開院した高知医療センターは、
循環器病センター、救急救命センター、総合周産期母子医療センターーなど高度医療、救急医療を支える中核拠点病院としてかけがえのない役割を果たしている。また、3日に2回ドクターを積んだヘリコプターが郡部に飛ぶなど、県下で深刻な医師不足が問題となる中、地域医療を支える重要な役割を果たしている。このように重要な役割を果たしている高知医療センターであるが、経営面においては、重大な懸念が表面化している。
高知医療センターが全国初の病院PFIとして発足したのは、何より民間の力による経営効率化を図ることを目的としたものであり、その最大のメリットは、薬品費と診療材料費で、30年間で300億円が従来方式よりも削減されるとうことにあった。その期待された効果に対し、高知医療センターは、高知医療ピーエフアイ株式会社(SPC)に対し、マネジメント料および職員給与相当分として年間約5億円を支出している。優先交渉権者として選定されたオリックスグループの提案内容は、診療材料費を医療行為で得られる収入の23・4パーセント以下とすることでVFM(バリー・フォー・マネー=PFI事業期間を通じて、より安い費用でより質の高いサービスが期待できる効果の最適な組み合わせ)を生み出すこととしていた。しかし実際には30パーセント近い額となり、予算額を8億円以上オーバーする事態となった。19年度決算見込みでも27.6パーセントが予想され、到底、提案内容の23.4パーセントを達成できる見通しはない。
さらに、SPCのマネジメントが十分でないことや、医療事務における診療報酬請求事務の不手際も指摘されるなど、PFI事業の目指すサービスの質の向上や経済性・効率性が発揮されているとは言いがたく、まさに契約違反ともいえる状況となっている。また、決算見込みによれば、今度末には、内部留保資金が917万円までに落ち込み、資金ショートによる経営破たんが危惧されている。
よって、当市議会は、高知県・高知市病院企業団の構成団体である高知市に対し、高知医療センターの経営改善を図るため、病院企業団とともに高知医療ピーエフアイ㈱に対し、契約解除も視野に入れた強い態度で臨むよう求める。
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