高知市の行財政「改革」 ⑥雇用拡大?
高知市は、アウトソーシングにあたって、雇用の場をつくる、と言っています。しかし、実態は、公務職場を削減して、代わりに低賃金の非正規雇用などに置き換えることです。市役所が、ワーキングプアを生み出す元凶となりかねない話です。
これまでも私たちは、公共発注の中で、労働者の生活と権利をまもるために公契約条例の制定をもとめてきました。民民の話として、基本的に否定的です。しかし、自治体が「その賃金だけでは生活できない」労働者を作り出さないための努力も存在します。兵庫県芦屋市では、市長が労働組合に「委託労働者の賃金・労働条件が適正に確保されるよう調査と指導を行う」と文書で約束しています。滋賀県や熊本市・和歌山市などでは、指定管理者の公募要件のひとつとして、労働者の賃金単価基準を設定・公表しています。熊本市では、市の一般職職員給料表等を参考に人件費単価表を作成しています。
高知市長は、9月議会でも青年の雇用の実態に深い理解をしめしましたが、矛盾する話です。
また、アウトソーシングにあたっては地元企業、地元団体優先を方針としてますが、本質的な矛盾を感じています。
総務省は、今年6月、「公の施設の指定管理者制度の導入状況に関する調査」にもとづき、指定取り消し状況の結果について公表しました。たとえば、上越市では、光ヶ丘高原観光総合施設など3施設の指定管理者になった新井リゾートマネジメントは、本業のスキー場、ホテルなどがシーズン中豪雪の影響で入りが伸びず売り上げが低迷、買掛金の支払いが出来ず、2006年7月に営業を停止、解散し、わずか3ヶ月で指定取り消しになりました。市は暫定的な措置として直営に戻し、現在も直営で管理・運営しています。 こうした事態を受けて、上越市議会では、指定管理者の選定方法や不測の事態にかかわる管理運営のあり方について意見が集中し、指定管理者選定委員会でも財務状況が指摘されていただけに「指定業務以外の本体のチェックはなかったのか」「定期的に経営状況全体の報告がもらえる手立てを」との声が上がり、理事者側は「施設サービスの低下を招かない手法を検討していく」と答弁しています。
公の業務をアウトソーシングするとなると、安全性をはじめ市民サービスの質の確保、また、事故が起こった場合の賠償責任にたえられるか、など経営体としの健全性がもとめられています。
そういう民間企業や団体が、受け皿として地元に存在しているのか。質を確保しようと思えば、例えば、福寿園の調理がシダックスに委託されているように県外資本がはってくることが容易に考えられます。委託料金の一部が非正規雇用の賃金として地元に還流するだけで、貴重な税金が県外に流出してしまいます。
雇用創出という説明は、まやかしでしかない、そう思います。
« 橋本知事退任・・・道理が通った県政 | Main | 地域ケア構想 やはり国の枠内 »
「高知市政」カテゴリの記事
- 「よいところは継続」 桑名新市長の当初予算に賛成 日本共産党高知市議団‣声明(2024.03.23)
- キャンセルカルチャー 「大衆的検閲」の行く先(2024.03.13)
- 高知市長選 なせ岡崎市長の支援を決めたか(2023.10.04)
- 2023年3月 高知市議会メモ(2023.05.15)
- 生活保護 冬季加算「特別基準」(通常額の1.3倍) 高知市「抜かっていた」「速やかに実施」 (2022.12.28)
「雇用・労働」カテゴリの記事
- 「消滅自治体」 なぜ「若い女性減」だけ? 若い男性も同様に減少(2024.06.01)
- 地消地産、医療介護福祉 産業政策で党県議団の提案生きる(2024.05.09)
- 日本のジェンダー平等を考える ~家族モデル、政治、教育、賃金格差、DV(メモ)(2024.05.05)
- 最高裁元判事のコメント・考 ~「司法における固定観念化とジェンダー差別」克服の重要性(2024.05.04)
- 「新しい生活困難層」 正規雇用に「内付け」された日本型生活保障の崩壊と改革展望(2024.04.25)
「行政改革」カテゴリの記事
- 下水道事業の企業会計導入をめぐって(2023.12.23)
- ポストコロナ政策 政府・財界が狙う「地方制度改革」の倒錯(メモ)(2020.09.29)
- 自治体の公共事業予算 年度内に使えなかった1兆9000億円~深刻な職員不足(2019.12.25)
- 人生の墓場・やりがい搾取…厚労省若手チームの調査・提言…が、安倍政権は「定数減」推進を見直さず(2019.09.03)
- 地方公務員5人に1人が非正規・ワーキングプア~元凶は自公政府(2018.11.08)
Comments