携帯電話と教育 二話
今日の高知市議会で自民未来会派の議員が、“高知市は就学援助が多すぎる。就学援助をうけながら携帯電話を子供に与えている例がある”など、執行部の就学援助切り下げを応援する質問をした。就学援助は、収入を基準に実施されている。その中で、何を優先するかは個人の判断だ。例えば母子家庭ではダブルワーク、トリプルワークの家庭も少なくない。子供と接する機会が少ないため、連絡等に携帯を持たせるのは、少しも不自然ではない。一部をとりだして、制度全体を否定する・・・そういえば、小泉前首相は「郵政公社の職員は特権階級だ」と扇動して、選挙に勝利した。情緒的訴えは、真実を曇らせるために行われるのが常だ。
ところで、携帯電話つながりで、興味深い記事が・・・全国学力調査の結果「携帯電話を頻繁に使っている小学生の方が、持っていない小学生よりも学力調査の成績が良いことが13日、国の調査をまとめた東京都教育庁の報告書で明らかになった。」というもの。
学力調査では、「学校のきまり・規則を守っている児童生徒の方が、正答率が高い傾向が見られる」「朝食を毎日食べる児童生徒の方が正答率が高い傾向が見られる」「児童生徒が礼儀正しいと思っている学校の方が、平均正答率が高い傾向が見られる」という報告が出ている。
それをどう読み解くか・・・あいさつや朝食を食べるということが声高に言われる姿がめに浮かぶ。それらに直接的な因果関係があるのか?全体としてみれば、経済的に安定し、家族時間を持てる家庭の子供が、学業にも専念できる、ということでしかないと思う。「携帯電話を与えれば学力が向上する」と言えば「おかしい」と誰もが思うだろう。「規範」と「学力」を直接むすびつけることもそれと同じのレトリックである。なにも、あいさつや朝食を食べることを否定してるのではない。それらを短絡的に学力を結びつけることを否定している。要はどんな環境のもとで、子供が暮らしているかということ・・・ ダブルワーク、トリプルワークしている家庭、単身赴任を強いられている家庭、夜勤など不規則勤務の家庭・・学力とは何か、ということと同時に、そういう生活の根本を問わなければならない。
非正規雇用の増大、劣悪な社会保障・・・それを覆い隠すために、家庭に責任を転嫁する仕掛けである。
ちなみに、生活態度がしっかりしていれば勉強もできる・・・そんなのは教師をしていればすぐわかる。70億円もつかわなくても「僕に聞いてくれたらおしえてあげるのに」と知り合いの先生が言っていた。それでもやるのは政策誘導をするための仕掛けに必要だからである。
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