「官から民」・PFIにノーの審判
「官から民」があたかも「善」であるような雰囲気の中、12月、高知市議会で日本共産党の岡田議員が医療センターのPFI事業で、まったく効果があがっていない問題点を(下段参照)質問をした。
しかし、執行部の答えは、「効果は30年で図るもの」とか「医療センターは、特別地方公共団体であり、意見を言う立場ない」とか「官と民のパートナーシップ」という答弁をしたので、行政がやらないのなら、議会が立ち上がろうと、「経営改善のためSPC(特定目的会社、オリックスグループなど11社で構成)に経営改善を迫る」意見書の提出を提案したら、最大会派など全体が賛同して、可決の見通しに。それが県議会にも飛び火し、同種の意見書が公明党を除く会派の賛同で可決の見込みとなった。(市議会は、市が「要請しない」といっているので直接、高知県・高知市病院企業団に対し、県議会は、まず県に対して企業団に要請するという違いはあるが・・)
高知市議会の意見書は「SPCに対し、医療センターの経営健全化を求めるため、契約解除も視野に入れた強い態度でのぞむことを求めるものである」と極めて強い内容となっている。
オリックスは、社長が政府の規制改革・民間開放推進会議の議長をつとめていた。その手法に、自民党を含む県議会、高知市議会が圧倒的多数でノーを突きつけようとしている(高知の保守勢力には、こういう健全さがある!)。SPCは、地元紙からも「素人」と揶揄されるなど、まったく政策医療の力量をもっておらず、県と高知市から派遣された職員が実質、医療センターを切り盛りしていた。関係者からは「SPCは余計なもの」との声が聞こえていることも付け加えておく。官と民の関係を考える上で、極めて大きな一歩だと思う。
【市議会での質問】(一部省略)
「 自治体の役割は、福祉の増進、人権保障にあり、そのために公務員は特別に憲法15条で「全体の奉仕者」という特別の位置づけをされています。一方、民間企業の目的は、営利の追求であり、目的を異にしています。アウトソーシングにあっては、公と民の間には、緊張関係が求められます。
「民間の活力」をとして実施したPFI事業の姿はどうでしょうか。民間で薬品、診療材料を購入すれば、30年間で300億円削減されることが最大のメリットとして導入され、その代わりに年間約5億円のマネジメント料、SPC職員の給与相当分もの支出しています。ところが、契約では、材料費を医療行為で得られる収入の「23・4%以下」となっていたが、30%近い額で、予算額を8億円以上もオーバーしています。まさに契約違反とも言える状況が続いています。
先日の企業団議会では、19年度決算見込みがしめされましたが、材料費比率は、依然として27.66%で、これも、地域医療支援病院や7対1看護体制など材料費を伴わない増収策の結果、比率が下がったにすぎません。内部留保は917万円までに落ち込み、資金ショートの危険さえあります。こうした、医療センターという事業がどうなるかわからない極めて厳しい状況にありながら、SPCはマネジメント料を丸々受け取る仕組みになっており、その他の委託事業でも2億数千万円の利益をあげていることも判明しました。SPC前社長は、さきの企業団会議で「23.44%は努力目標」と極めて無責任な発言をしました。
まさに、当初を私たちが危惧したとおり、民間は利益の追求が目的であり、市民生活に責任をおっていないことが如実にあきらかになりました。出発にあたって反対したのは日本共産党だけでしたが、そうした中で、企業団議会の中でも「PFIは失敗だった」「民間に期待しずきだ」との多くの声がでています。
Q PFIの効果が発揮されているのか、発揮されてないとすればその原因はなにか、お聞きします。
Q 統合病院を推進した高知市としても、SPCに対し、提案内容の実現の具体的プランの提出を強く要請するべきと思うが、お聞きします。
Q 公と民の関係で、「協働」という言葉では片付けられない、極めて厳しい緊張関係が求められると思うが、お聞きします。」
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