高知市の行財政「改革」 ④400名の職員削減
行財政「改革」プランについて、財政危機の真の原因、アウトソーシングの問題点、ハコ物建設と維持費などについて見てきましたが、今回は「5年間で400人の職員削減」について考察します。
すでに人口145人に一人の職員の松山市と、110人に一人の高知市で、経常収支比率占める人件費割合は同水準であること。また、職員減を補完する非常勤の賃金、外部への委託料がその6割を占める物件費では、高知は松山より低いことも示しました。にもかかわらず「中核市の平均」(執行部はこの言葉が好きです。市民サービスの向上を要望した時も、この言葉で回答します。市の個性はどこにいったのでしょうか。)の130人の一人をめざす出口を設定し、「どの市民サービスが切れるか」という発想で「行革」にあたろうとしています。これは、財政危機をつくったハコ物行政は見直さず、市民サービスの犠牲で乗り切ろうというる本末転倒です。
400人の削減といいますが、
5年間の退職見込みは現高知市(春野をのぞく)で480人(市資料)。市は春野も含め早期退職する人も含めると600人くらいと予想しているらしい。しかし、明確になっている480人の退職のうち消防関係は67人。技術の継承もあり、防災・救急救命上のこと採用は必要。すると現高知市枠では、この5年、13人しか採用されないことになる。大量退職の穴埋めをどうするか。市がアウトソーシングをねらっている清掃、学校調理、保育の職員を一般事務職として専門性も無視して配置することでしか対応できないことになる。
すでに市は、職員組合との合意である「「欠員補充」の約束を反故にして、現業職の採用試験を停止した。大学の研究者、民間の委員もいる市行革推進検討委員会の会長である高知大学の先生は「市の計画は露骨すぎる」とし「自治体の仕事はチームでるものであり、安全などマニュアル化されない機能を評価すべきであり、単なる数へらしは職員のモチベーションの低下をもたらす」と警鐘をならした。市が設置し、選任した委員会の会長から苦言がでるなど異例のこと。今の計画は、真の原因にはメスを入れず、数字あわせて職員減を求める物で、結局、「市民の心を心として」と長く培ってきた市職員のモラルを決定的に破壊する取り返しのつかないことに通じるだろう。
たしかに、今の財政状況からみて、給与の額がどうか、市民の合意を得られるかという問題はある。それは、「市民の幸せの中にこそ、自治体職員の幸せがある」という精神で執行部と職員組合が真剣に探求をしてほしい。そのことと一方的に外部委託することは別である。今年、2月、りそな銀行の研究所の方が、自治体のアウトソーシングについて論文を書いてますが、結論は「いいサービスにはコストがかる」というものです。子どもの発達、食の安全性、個人情報の保護… 多様な視点での論議が必要と感じています。
そもそも合併によって職員数はおおくなっています。急には減らせません。だからこそ、合併にあたっては交付税の算定替え(合併してないと見なして交付税額を計算。つまり小さな自治体が運営できるように計算されている交付税の段階補正分・・・2村1町分の段階補正分を2015年まで保障、その後5年で段階的に廃止 年8億程度と思われる)で手当てして、合併10~15年後に普通の自治体の職員数にソフトランディングするように設計されています。それを一挙にやろうとするのは無理があり、道理はありません。「市の大型事業の推進、同和行政の固執が問題だった。反省しているので協力してほしい」というなら、話はわかりますが・・・市の計画は、これまでの失政をごまかし、「中核市の平均値」という言葉でごまかして、市民サービスの切り捨てを行うという「仕掛け」なのです。
ついでに、財政危機の原因に、「生活保護費の急増」と執行部は口にしますが、これもごまかしです。生活保護費は国の事業であり、75%が国の支出、そして残りも交付税の中に参入されています(実際の額には少し足りない問題点がある)。04年度で見ると、168億円のうち、 国から126億円、交付税分37.8億です。市負担は4.1億円。この間、何十%扶助費が増えたといって、1200億円の予算のうちで市負担分の増は微々たるものです。しかもそれで多くの市民の最低限の生活がまもられているのですから・・・
財政再建には、市民の協力、職員のモチベーションの前進がかかせません。こんなごまかしの議論で百害あって一利なしです。
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