危うさ漂う中心市街地活性化構想
民間団体が提出した高知市の中心市街地に高知大学の一部施設を移転する構想が地元紙で大きく報道され、岡崎市長が意欲をみせているようだ。地元紙は「市議会にも同構想を含めた中心市街地の活性化策を議論する場が整いつつある。こうした“追い風”を受け、同大は一部移転の調査費を来月にも文部科学省に概算要求する方向で検討を始めた。小学校の統廃合に大学移転を絡めて中心市街を再開発――。巨大な構想がにわかに浮上した格好だ」とかなりのはしゃぎぶりである。
しかし、なぜこの時期なのか。
民間団体が提出した構想は、以前から存在が知られていたが、しきりに「6月末に一定の方向がでなければ民間は、中心部の活性化対策から手を引く」と主張してきたとのこと。ポイントは、高知大の事務長…文部科学省からの出向で、この6月で本庁に帰るらしい。教養課程と事務関係(3千人規模)を移転するというのは、同大学の教授もまったく知らない話で、官僚が出世のために「大学の地域貢献」という面でなんらかの手柄話がほしかったのではないか? と勘ぐりたくなる。これは、駅前複合ビルの構想をつくった構図と同じ。結果も同じになりそうな気配を感じる。
大学が調査費を概算要求したが、これは移転の調査のためのものではない。中期的な教養課程のあり方の調査で、額も200万円しかない。学内や朝倉地域の合意はどうするのかさっぱり見えない。また、中心市街地活性化法のたてりは、民間主導・・・ 行政にあれこれやってくれ、というものではない。行政に小学校を統合してもらって、図書館をもってきてもらって、大学を移転してもらう。他の地域から人の流れが商店街に移転するだろうが、それにプラスして民間は何をするのか? そこがはっきりしないと構想は動かない。市は、3年間で190億円という財源不足で財政出動する体力はない。それに、中心市街地活性化法を適用しようとすると、準工業地域に規制をかけなくてはならない。その地域とは 再開発し、土地を売りだしている弥栄門地区。ある幹部は、「とても規制はかけられないだろう」とも言うし、中心市街地の活性化といいながら、岡崎市長は、「周辺部の幹線道路での出店規制をゆるめたい」と、まったく矛盾することを団の予算要望の席などでしている。
それに候補地になってる追手前小学校の統合問題。校区外から通学できる特認校の功罪をきちんと総括する時期にきているのだか、市長の前向き発言によって「統合ありき」として保護者からの反発が強まり、その環境は非常に困難になった。以前にも、商店街に関係の深い市議が、同構想を地元で説明して総すかんを食ったという経過もあるだけに、「選挙の公約にしたい」とまで踏み込む市長発言には、あきれている市幹部、OBの声が聞こえてくる。二年間で整備計画をつくり、五年内で事業を完成させる、という活性化法の枠にはとうていおさまりそうにない。それだけの問題があるのに地元紙のはじゃぎぶりも気になる。教育長は「統合ありき」と捉えかねないような報道に抗議したらしい(市議団には、特認校の総括は、6年経った今年することで昨年から検討に入っていること。耐震対策は、特認校の結論が出ないうちは合理的でないことなど、説明していました)。
本質をたどれば、日本共産党以外の賛成で進んだ大型店の出店規制の緩和があり、あいつぐ負担増による国民の購買力の低下という問題があるが、同じ市内の商店街でも、はりまや橋の方は元気な声が聞こえてくる。人が行きたくなるような、人が集える商店街にどうするか、というのが本質問題だと思うが… とにかく、よくわからないフワフワした話をごっちゃにして、「なんとかなりそうな」という危うさを、現時点でつかんだ情報からは感じている。
ちなみに、市議会に特別委員会ができましたが、同構想は、民間のものであり、市が説明すべき内容ではない。「環境はととのった」と報道されているが、特別委員会で何を議論したらよいのか、が議論になっているようである。ボタンの掛け違い?
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