たらい回しの悲劇
容態の悪化した妊婦さんが病院からの転送を拒否された結果、死亡する痛ましい事故がありました。あらためて日本の医療の貧困さと、これまでの「改革」の愚かさを感じざるをえません。
今、政府がすすめようとしているアメリカの医療は、基本的には民間保険しかない。医療事故と訴訟の多い産科の医者が減少し、賠償金の上限の低い都市に流れ、産科のない都市が増加しています。同じ流れを実感する。能力に不安を感じる病院が、拒否することは、一方的に責められない。要は、救急に対応できる能力をもった施設が絶対的に不足していること。私の兄弟が兵庫県で民間病院の事務長をしてますが、10年ほど前までは、整形外科が中心の病院ですが、夜間には、子ども(乳児は別ですが)も救急も受け入れてました。ある日、子どもの救急を受け入れたら、翌日、母親が「小児科がないのに受け入れた」と怒ってきたとのこと。そこで、「事故があったらどうなるか。善意だけでは通用しない時代になった」と受け入れをやめました。消防からは、「近くで、他に受け入れてくれるところがないので続けてほしい」と懇願されたそうですが、「責任がとれない」と断ったとのこと。「善意」にかわり、きちっと予算をつけ施設と体制を確保しなければならない。しかし、地方では、産科、小児科自体がなくなっている。医療の人的スタッフにかけるお金が少なすぎる。日本の医療は、少ない費用で、長寿、乳幼児死亡率など総体として世界一の水準であることが国際的に評価されている。医療、福祉に投入される予算は、雇用効果としても大きい。一方で製薬メーカーのもうけは異常に高い。メスを入れるところははっきりしている。
教育再生会議が開かれたましたが、先進諸国では常識の25~30人学級を実施するのが先決だろう。医者も教師も人間が相手の仕事。課題に追われ、疲れ切っていて、どうして心豊かに、冷静に接することができる? 福祉・医療・教育にかける予算があまりに少なすぎる日本のゆがみが、毎日のようにニュースになり、心が痛い。
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