今月臨時国会。9.11を前に
9・11同時テロから5周年の直前である。アメリカは、改めて対テロ戦争の続行と、それが「長期のたたかい」になることを強調している。しかし、「テロ支援国家」「テロリスト・武装グループ」と一方的に決めつけて武力攻撃する方法で、多数の民間の犠牲をともない、さらにテロの温床は拡大した。イラクはアメリカ自身も内戦の様相になっていることを認めている。開戦前から指摘されていたことだ。喜んだのは軍事関連の巨大企業だけだ。
そもそも、アメリカのご都合主義が世界を混迷させている。アメリカ政府はレバノンのイスラム教シーア派武装組織ヒズボラがイラン、シリアからの軍事支援を受けていると非難しているが、アメリカ自身は、イスラエルへの膨大な軍事支援を行っている。アメリカの民間研究機関「世界政策研究所」は、ブッシュ政権下の2001年から05年までの5年間で、168億ドル、約2兆円もの直接、間接の軍事支援をしていたことを明らかにした。今回のレバノン侵攻で投下されたクラスター爆弾も米国製だ。359カ所に投下(その9割が紛争停止前の三日間に集中)され、レバノン南部などで10万発以上の不発子爆弾がばらまかれ、毎日一人が死亡し、三人が負傷している。一方的な虐殺とも言えるイスラエルの数々の国連決議違反を擁護し支援しているのはアメリカ自身である。核問題も同じ。そもそも核兵器の保有を認める国と認めない国があるというNPT体制がおかしいが、アメリカは、イスラエルに敵対的なイランには強圧的で、一方、インドの核保有は認め、援助することまで約束した。
アメリカは「長い戦争」に勝利するためには、同盟国の協力が必要と強調している。そのアメリカが日本の「憲法を変えよ」と迫っている。9.11から5周年。アメリカの「対テロ戦争」を総括すれば、これにつきしたがう道に未来はない。今月から臨時国会が始まり、改憲の手続き法案、教育の国家統制のための基本法改悪が狙われている。明治憲法を愛し、改憲DNAを持つ人物が首相になりそうであるが、たたかいどころである。
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