「役人天国」と偽装「行革」
武部幹事長は、「役人天国」といって、「公務員削減」と「規制緩和」を推進する「行革」法案の「必要性」を語っている。「役人天国」というなら、その中心は、防衛施設庁の官製談合などでも明らかになった高級官僚の天下り、天下り企業からの自民党への献金という政官財の癒着構造こそ最大の問題である。しかし、今度の「行革」法案では、ここには、まったくメスが入らない。また、公益法人である日本歯科医師会が、代表者・会計担当・住所などがまったく同じ政治団体=日本歯科医師連盟をつくり、自民党に献金してきた。経済産業省所管の業界団体である日本電機工業会、日本自動車工業会、日本鉄鋼連盟をとりあげ、この5年間で国からの補助金が約15億円も出ている一方で、自民党に9億円も献金している。税金の自民党への環流である。この問題も、規制の対象となっていない。
結局、もっとも肝心な点は、手をつけず、国民向けサービス、国民の権利を守る「公」の役割の切り捨てに「役人天国」の言葉をつかっている。大阪市などの地方自治体の異常な福利厚生の問題も、政府与党勢力と民主党なとで支持された首長のもと起こっていることであり、私たちが支持している自治体では、ゆがんだ同和行政・部落解放同盟の横暴などふくめ一環して是正に力をつくしてきた問題であり、「役人一般」に解消するのはまちがいである。
先進国で唯一実施してない30人学級、基準の7割しか配置してない消防職員、全事業者の調査に30年かかる労働基準監督官、欧米の半分以下の看護師の配置基準・・・現場のまじめな公務員は激務となっている。公務員が異常に少ないのが日本の実態である。なにが、問題か? それは民間の働くルールがあまりにも劣悪であること。規制がないことが、下向きのスパイラルをつくっている。時給611円の最低賃金では一ヶ月フルタイムで働いても11万円。生活保護基準にも達しない。結婚はおろか、子育てを願うことさえ無理である。
この不安、不満からくる社会的統合の危機に対して、治安・思想統制が強化されている。ビラ配布だけで逮捕される事件の続発、えん罪の温床となった代用監獄を公的に認める新法、相談しただけで処罰の対象となる「共謀罪」の今国会提出、愛国心をもりこんだ教育基本法改定 ―― 「だまされない責任」・・・・先日も、元宮内庁記者が書いた本の中で、伊丹万作氏の言葉に出会った。そこが試されていると思う。
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