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あす、日本軍国主義敗戦日

8月15日は、日本軍国主義の敗戦日である。歴史に「もしも・・」はないが、2月に敗戦を決める機会があった。
45年2月14日 近衛文麿が、天皇に「敗戦は遺憾ながら最早必死なりと存じ候」「敗戦は我が国体の瑕きんたるべきも、英米の与論は今までのところ、国体の変更とまでは進みおらず、随って、敗戦だけならば、国体上さまで憂うる要なしと存じ候。」と上奏している。この上奏に対し天皇は、「もう一度戦果を挙げてからでないとなかなか話は難しいと思う」と拒否をしている。 
 天皇は、軍事的知識を持ち、15年戦争の間、一貫して全局を掌握する位置にいたただ一人の人物である。首相、陸海軍の責任者は次々と交代した。しかも、それら大臣は直接天皇に責任を負う立場で、横の連絡は希薄だった。たとえば、真珠湾攻撃のために11月に艦隊が出発したが、東条首相は知らされてなかった。直前になり、「非公式」に伝えられただけである。他の閣僚は、国民と同じにニュースで知った。2月の「敗戦うけいれ」拒否以降、天皇は、どのくらいの兵力が残っているか、「ご下問」し、もはや「もう一度戦果を挙げる」だけの戦力がないことを、掌握していた。そういう間に、沖縄戦、本土空襲、広島・長崎、ソ連参戦と続く・・・多大な犠牲がはらわれる。
 8月10日の御前会議でポツダム宣言受諾を決定するが、「国体護持」条件が条件であり、「天皇の国家統治の大権を変更することがない」という条件をつけて連合国側に回答している。2月の上奏拒否からはじまり、天皇の意識は「国体がどうなるか」でありつづけた。8月12日。連合国側から回答。「天皇及び日本国政府の国家統治の権限は、連合国最高司令官の制限の下に置かるる(従属)ものとす」。何らかの形で天皇制が残るという感触をうけ、敗戦をうけいれる。(本土決戦の戦力はなく、その場合は、国体は崩壊するとの判断もあった。近衛は、天皇の権力の返上で「難局」をのりきり、天皇家を残すことも提案している。)
 その「見通し」があたったことは、アメリカが統治のために、天皇を利用することを考え、東京裁判で「政治的理由」から、天皇の責任は追及されなかったことで裏付けられている。つねに天皇に忠実でありつづけた東条首相(天皇の判断を仰ぐ、「内奏」というものがあるが、気に入らないと返事がこないため、受け入れられるように提案内容を変えていく。「東条の内奏ずき」と言われていた)は、東京裁判で、「天皇の意志に逆らったことはない」という忠僕ゆえの証言をし、アメリカをあわてさせた。「天皇に責任がおよぶ」と説得され、証言を変更。軍部の暴走と描き出されることとなった。
 東京裁判は、侵略戦争を断罪するという点で歴史的な意義を持っている。ただし、侵略戦争の最高責任者が免罪されたこと、アメリカの人口密集地への無差別爆撃、原爆使用などホロコーストが不問にふされたことに大きな欠陥がある。その後の、戦犯の公職復帰からなる、戦前の歴史の継続、今の右傾化の流れをつくったこと、アメリカの核兵器を含む先制攻撃戦略、イラク戦争、ファルージャの「掃討作戦」など極端な軍事優先に連綿とつらなっているからである。
 「終戦日」という表現は、歴史に真摯にむきあった表現でなく、使いたくない表現の1つである。
  

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軍国主義は官僚主義として生き残った。
そして、経済敗戦・・・・。
トラバさせていただきます。

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